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チエテ・バスターミナル 人生の岐路

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サンパウロのチエテバスターミナルで出会ったアレハンドロ君。
ボリビアのラパス生まれ。ミュージシャンを目指してサンパウロへ出てきた。
8年ほど頑張ってみたが、お母さんの具合が悪くなり、実家へ戻ることにした。
「家族のいない生活は僕にはもう耐えられないんだ」
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旅を続ける時は、人生の岐路に立っていることが多い。
ブラジルに来て8年になるが、旅らしい旅さえしたことがなかった。
それが、今年に入ってから驚くほどの距離をバスで旅した。

先月のある日、僕はサンパウロでの撮影を終えて、チエテ長距離バスターミナルにいた。
同ターミナルは、ブラジル経済の中心地・人口1400万人のサンパウロを支える動脈の一つ。
ブラジル各地や南米をつなぐバスが24時間発着する、南米有数のバスターミナルだ。
サンパウロからブラジル南西部のわが街まで1200キロ。
長距離バスで14時間の旅。14時間?まだまだ子供の遊びだ。
広大なブラジルをバスで縦断しようとすれば、最低でも3日はかかる。
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ぼろ雑巾のように疲れきった体を、発着場の安っぽいプラスチックの椅子に預けた。
明日には家族に会える。そう思うと疲れできしむ体も和らいだ。
横に座っていた青年に話かける、「どこへ行くの?ひょっとして同じ方向?」
「いや、オレはボリビアのラパスへ帰るんだ。8年ぶりだよ」
「途中の街で乗り換えて、明後日には着けるかな」
(ラパスはボリビアの首都。標高3,700メートルの高地に位置する)
「色々な仕事に就いたし、サンパウロは面白い場所だったけどね」
「友人も増えたけど、やっぱり家族の近くにいたいんだ」
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南米に住んである程度の時間が経つだけに、僕には彼の言う事がとてもよく理解できた。
ブラジルに限らず、南米の人たちは家族をとても大切にする。体の一部のようなものだ。
家族と離れて暮らすことのつらさや寂しさを、何よりも受け入れ難い人達なのだ。

僕は、そんな彼らがとても好きだ。
そして、そんな南米の地に馴染みすぎてしまった。
自分のことを、家族の暖かさに縁がない人間だと思い込んできた。
しかし、南米大陸の「血」はとても熱い。
いつしか、心の中に大きく開いた「孤独」の暗い穴さえも、熱い情熱で覆い隠されていた。

情熱大陸の神々は、気まぐれだがとても情に厚くもろい。直情的なのだ。
そんな神々の矢に射抜かれてしまったと感じる時さえある。

さあ、帰ろう。会いたい人がいる。

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by Pombo_Brasil | 2008-07-26 08:53 | スナップ・ブラジル
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