男は天を見上げて泣くものだ。

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地方都市の弱小チーム。
ボロボロのグローブとユニフォームが厳しい予算を物語る。
今シーズン、6戦目が終わっても1勝もできない。
チームに蔓延する焦燥感と苛立ちがファインダーから伝わってくる。

鬼気迫るキーパーの気迫がチームに伝わったのだろうか。
7戦目にして勝利の笛が鳴った。
喜び合うチームメート達にまじって、ゴールキーパーに抱きついたのがサブキーパー。
競争相手でもあり、友人でもあるのだろう。その場に崩れるようにして二人で天を仰いだ。

祈るようにして、天を見上げるキーパー2人の姿。
何故だろうか、ファインダーが曇って見えなくなる。
それでも、僕はシャッターを押し続けた。

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まだ寒いニューヨークの郊外を、僕は地面ばかりを見つめながら夜の街を歩いていた。
体の痛みと心の苦しみに毒づきながら、「この世に神がいるなら姿を見せてみろ!」と叫んだ。
まるで心の中に奈落への穴が開いているかのようだ。

寒い。

せめて、体だけでも暖めようと思い、
ポケットの中にある少しばかりの小銭を頼りに目の前のドーナツ屋に飛び込んだ。
少しすすけたような店内、働いているのは小太りの黒人のおばちゃん一人だった。

「コーヒー1つね」。

何故か、店員のおばちゃんは僕の顔をじっと見つめる。
そして、おばちゃんの目に涙が浮かんだ。
後ろを振り向いて、ドーナツをいくつか取ると、コーヒーと一緒に紙袋に入れる。

「え?ドーナツ頼んでないよ」

おばちゃんは、黙って自分のポケットからビニール袋に入った小銭を取り出し、レジの中に入れた。
財布がわりのビニール袋に入った小銭。
なけなしのお金の一部だと誰でもわかる。受け取れない。

「いいのよ、神様があなたのために下さったものだから」。

呆然としながら、コーヒーとドーナツが入った紙袋を提げて店を出た。
その夜、僕は、生まれて初めて天を仰いで涙を流した。

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by Pombo_Brasil | 2008-03-19 08:49 | サッカー・プロ
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