温度差との闘い

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プロスポーツ選手達と対峙する時、温度差を埋めることができない写真家は2流だ。
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僕が撮影しているのは、ブラジル中西部の田舎サッカーだ。
それでも、年に何度か全身全霊をかけた「真剣勝負」を挑まれる試合がある。
昨日の試合がまさにそれだった。

僕は、いつもエンドラインから一メートルと離れていない場所で、両膝をついて撮影している。
この姿勢が一番、画面に迫力が出るし、とっさの左右の動きにも対応できるからだ。

選手達がぶつかる音、うめき声、怒り、喜び、選手達が吐き出す闘志と感情のすべてが臨場感を持って伝わってくる。
試合開始後まもなく、自分の温度がまったく「この」試合に合っていないことに気づいた。

「プロの気迫に臆した」のだ。
この温度差を埋めない限り、写真の女神は絶対に微笑まない。

「バカヤロー!」
「真剣勝負の場に、緩い気持ちでカメラ構えるな!」

自分の甘さに吐き気がした。
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こんな時に思い出すのは、トイレを借りようと夜のサウスブロンクス(NY)で入った一軒の「BAR」だ。
そこは少年ギャング団のアジトだった。
黒人の少年に、「お前、私服(警官)か?」と聞かれた時の闇夜に浮かんだ目は今でも忘れない。
店から出てきた時、クルマで待つ友人が震えていた。
「こんな恐ろしい雰囲気を感じた場所は始めてだ・・・早く行こう」。

このときに学んだ、
「緊張感のない魂が呼ぶのは、漂流する魂のかけらだけだ」。

サッカーフィールドはプロの「真剣勝負」の場だ。
俺はなにをしていたんだ!
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僕がひいきにしている黒のユニフォームのチーム。
資金力は最低ランク、練習場を借りるお金もないため、合同練習は週に2回だけだ。
控えの選手層など笑うほどだ。高校生のような幼い顔をした選手さえ混じっている。
金がないため、監督は選手兼任の時もある。
その代わり、サッカー(人生そのものだ)に対する「スピリット」はこのチームに並ぶものがない。
サポーターもまさにクレージーだ。

そのスピリットは「ブラジルサッカーの強さ」の源流そのもの。
日本のサッカー関係者も是非ふれてほしい。
気迫で埋まるサッカーの実力差がどれほどのものか、僕は目にしてきた。

そして、このチームは相手チームのスピリットまでも引き出してしまう。

気が付いたら、僕は血眼になって選手達を追いかけはじめていた。
ただし、心は冷めている。写真の女神に心の行き場は任せてある。

EOS 20Dのタイムラグが、この試合ほど恨めしいと思ったことはない。
僕の要求に答えるカメラ・機材が心の底から欲しいと感じた。
こんな気持ちは初めてだ。
全身全霊をかけた勝負に答える道具が欲しい、魂が叫ぶんだ!
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by Pombo_Brasil | 2007-05-29 13:57 | サッカー・プロ
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