ブラジルは、アメリカにも劣らない多民族国家。
現住民族に加え、ポルトガル系、ドイツ系、日系、イタリア系、アラブ系、ユダヤ系、ありとあらゆる人種が混在している。
ブラジルにも黒人は多い。
植民地時代、「プランテーション農業」の労働力として600万人近い黒人奴隷がアフリカから連れてこられた。労働環境はひどく、多くの黒人が命を落としたという。奴隷制が終わったのは1888年。
もちろん、ブラジルにも目に見える形、見えない形での人種差別は存在する。
ただし、それはアメリカほどはっきりと見える“人種の壁”となって現れることは少ない。
ブラジルに初めて来た時、「人種の壁の“痛み”を感じない国だな」と素直に感動した。
その理由の一つをエウロ・ブランドンという研究家がこう記している。
「ブラジル人は快活・・その根底には非常に情趣に富み、合理では割り切れない神秘的なものを持ち、人との交わりではヒエラルキーや形式主義にとらわれることなく心から付き合う気持ちが強い」
ブラジルの大地が生んだ国民性なのだろうか。
闊達、かつ気まま、感性重視で超が付く個人主義。そのくせ、サッカーW杯などになると恐ろしいほど愛国心にあふれて一致団結する。
ブラジルの魅力ってなんだろう。
・・・・・
スタジアムの観客席で黒人の親子を見つけた。
写真を撮っていいか、と合図をすると、母親はだまって子供の帽子のつばを上にあげた。
「美しい・・・」
何故か、この言葉しか出てこなかった。
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